傷付いた分だけ強くなるなんてデタラメだ。
もう二度と同じ傷を負いたくなくて臆病になるだけだろ。
責められると全てどうでもよくなって、ああもう全部私が悪いでいいですよ、と言いたくなる。
過去にされた嫌なことも、割としっかりめに自分が情けないから…と思いながら育ったけど、アラサーになったあたりでやっと「あれって別に私悪くなかったよな」と思えるようになった。時間がかかりすぎる。
それでもいまだに、強く責められると私が悪いでいいや、と畳んでしまう。闘う労力の方が無駄だ。どうせ口の上手いやつに、私のような人間が口喧嘩で勝てるわけがない。こういうところが何十年経っても所詮はいじめられっこ体質なんだろうな。
どうして他人の弱みを見つけるのがうまいのだろう。そしてそこを触って、笑っていられるのだろう。
私なんか、少しでも相手の弱いところに触れてしまったら、謝り倒してしまうのに。でもこういうところは素敵だよねとエピソードを立てようとしてしまうのに。どうして人の弱いところを、笑っていられるんだ。
それを面白いと思う人間じゃなくて良かったと思う反面、そういう人間ならこんなに自分の弱さに苦しむ必要なかったのにとも思う。
全然いじめっこになんてなりたくないのに、人の弱みに敏感で、自分の弱みに鈍感な人間でありたかった。
自分の弱さばかり見つめているから、昨日付けられた傷も、5年前に付けられた傷も、20年前に付けられた傷も、平等に痛いんだよ。